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茶運(ちゃくみ)人形の機構

 江戸時代の機械書、「機巧図彙(からくりずい)(1)」にはからくりの内部機構が図説されています。下図は「機巧図彙」に載っている茶運人形の全体図(左)、内部機構図(右)です。実際の人形の内部は木、糸、鯨のヒゲ(ゼンマイの材質)で作られていたようです。


全体図

内部機構図

人形は次のような動作をします。

  1. 最初にゼンマイが巻かれます。-->人形は静止した状態にあります。
  2. 主人が、人形の持っているお盆に湯のみ茶碗を載せると-->人形は前進を始めます。人形の足も前後に動きます。
  3. 人形が客の前まで来ると-->頭を前に傾け、すなわちお辞儀をします。
  4. そこで、客が茶碗を取り上げると-->人形は前進をやめ、足の動きも止まります。
  5. 客が茶を飲み干し、再び茶碗を人形のお盆の上に載せると-->人形はその場で180°回転します。
  6. 頭も上げます。
  7. 主人のいる所、すなわち、出発点へ向かって前進を始めます。足も再び前後に動きます。
  8. 主人の所へ戻ったとき、主人が空の茶碗を取り上げると-->人形は前進をやめ、足の動きも止まります。

上の動作を実現する主な機構を次に示します。クリックすると詳細説明になります。
なお、機巧図彙は江戸時代の優れた機械書ですが、ただし図は直観的に理解しにくい面があり、機巧図彙の他に市販の組み立て人形(2)なども参考にしてなるべく分かり易い図を作製しました。

参考文献:

  1. 菊池俊彦解説, 江戸科学古典叢書3 璣訓蒙鑑草/機巧図彙, 恒和出版 (1976).
  2. おとなの科学8 大江戸からくり人形, (株)学習研究社 (2004).