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活動写真館石膏模型

縮尺:1/50、建立年代:大正7年(1918)、設計:Frank Lloyd Wright、購入:大正12年(1923)2月28日、納入:佐藤八百

ライトが大正7年(1918)に設計した、東京銀座に建つ活動写真館Motion Picture Theatreの計画案である。  外観は、量塊感のある四角い本体の上に八角錘の屋根と四隅の球形の装飾が載る特徴的な形態をとる。銀座に立地することを想定し、正面だけはライト独特の幾何学模様の装飾が豊富に施されているが、残る三方は装飾が一切ない。
 内部は中央に舞台が設けられ、その四隅に二層の客席が配された。円形劇場とも言うべき構成をとっている。四方から中央を観覧する形態は、活動写真館、即ち映画館としての機能を想定したものが疑わしい。こうした空間構成は日本の国技館や能舞台を発想の起点としていると想定されている。円形劇場を再構成する手法はライトの他の劇場建築にも見られるが、その手法は一様ではない。
 この建物の施主や設計の経緯は明らかではない。帝国ホテルの受注をとりつけるため、宣伝行為として計画されたものといわれている。
 この模型は、図面の存在が知られていないライトの活動写真館の設計案を具体的に知ることのできる貴重な資料である。