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枢密院鉄筋模型

(1.36×1.83×1.83m)

縮尺:1/20、建立年代:大正10年(1921)、設計:臨時議院建築局 矢橋賢吉、購入:大正11年(1922)9月20日、納入:臨時議院建築局

 枢密院とは大日本帝国憲法下における天皇の最高諮問機関のことであり、強大な天皇大権を規定した憲法を擁護するために明治21年(1888)に設立され、「憲法の番人」と呼ばれた。枢密院は昭和22年(1947)に廃止されたが、建物は皇宮警察本部として現存する。
 この建物は現在の国会議事堂建設のための試作的な作品とされている。全体にシンプルで議事堂のような細部意匠は見られないが、外観の列柱や開口部と壁面のとりあいなどは国会議事堂に非常に良く似ている。

 構造は鉄筋コンクリート造で、外装は人造石貼り、屋根はスレート葺、内部壁は漆喰塗り及びデコレート塗り仕上げ、床面は木造リノリウム敷きのほか、コンクリート面にマグネシヤセメント塗りを施し、中央にタイル及び真鍮のモザイクが見られる。
 この模型は、鉄筋の配筋が精巧に作られており、車寄の列柱と梁の一部には鉄骨が使われていることがわかる。一階平面には室名が、柱筋には番付が書かれているところも興味深い。