もどる

長保寺大門模型

(1.2×1.2m)

縮尺:1/10、建立年代:南北朝時代、嘉慶2年(1388)、購入:大正12年(1923)6月5日、納入:大木百太郎

長保寺は和歌山県下津町にある紀州徳川家の菩提寺である。平安時代後期に性空上人が開いたと伝え、中世には天台・真言の両派に転派を繰り返している。大門の他、本堂(鎌倉後期 延慶4年1311)・多宝塔(鎌倉後期)の3棟が国宝に、鎮守堂が重要文化財に指定されている。
 大門は江戸時代の棟札に嘉慶2年(1388)の建立と記され、扁額には応永24年(1417)の銘がある。桁行三間、梁間二間の楼門で、入母屋造、本瓦葺、様式は和様を基調としている。下層・上層とも頭貫の木鼻に禅宗様系の繰形彫刻のあること、下層腰組の肘木に彫刻を施した絵様肘木を用いていること、上層の組物の壁付きの肘木は通し肘木の表面に肘木形を彫りだしたものであること、正面と背面の中央間の貫の間に透かし彫りの彫刻の入ることなどに特色がある。

 技法的にも意匠の上でも、和様に禅宗様・大仏様の混じったいわゆる折衷様の門の一例であり、和歌山県北部の地域的特色をよく示す建物である。