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多宝塔(大塔)模型

購入:大正13年(1924)9月16日、納入:山田又兵衛

 二重、桧皮葺の多宝塔の模型である。和様を基調としつつも、蟇股(かえるまた)や木鼻などその細部の意匠は大正から昭和初期に流行した、意図的に古式を模した復古様式が濃厚である。
 下層は方五間、上層は円形平面で、下層の屋根の上に亀腹がのるこのような形式は大塔形式と呼ばれ、通常は下層内部にも円形に柱が並ぶ。現存する中世の大塔として根来寺大塔(和歌山 文明12年~天文16年1547)がある。この形式は、古く空海によって真言教団の拠点である高野山に建てられたのが最初である。
 昭和7年(1932)から12年にかけて高野山根本大塔が再建され、それに先だって、本学科教授であった天沼俊一・武田五一がその設計図面を作成した。この模型はその根本大塔の模型とも言われているが、天沼俊一の復元図や現在の高野山大塔とは、縁回り・組物・扉・屋根葺き材料など、多く部分に差がある。