第二次大戦直前から終戦時までにかけて,世界的にも早い時期に製造に成功した合成石油試料や合成に用いられた触媒などが、300~500ccの試薬瓶約20本に保存されている。この中には、昭和15年に京都御所で天覧に供せられた合成石油も含まれている。製造に用いられた各種装置設計図の青写真(B4型封筒で約20袋)や実験装置などの写真、ガラス写真乾板(ガラス乾板は13cm×18cm 10枚入で6箱)なども保存されている。さらに,実験記録などの文書記録もほぼ完全な形で保存されている。
昭和12年11月に合成石油試験工場(所属は化学研究所)が本学内北東部に建設され、喜多源逸教授のもと児玉信次郎先生らにより、フィッシャー・トロプシュ法による合成石油の製造研究が行われた。これらの精力的な研究と成果は後の工学部燃料化学教室の創設につながっている。この合成石油は昭和15年に、喜多教授により京都御所で天覧に供せられた。戦後いち早く喜多教授の後を継いだ児玉信次郎教授らにより、合成石油製造研究で培われた技術をもとにポリエチレン製造の研究が行われた。
[保存資料一覧]
合成石油関係
貴重標本:日本における最初の合成石油、および使用された触媒
[物質エネルギー化学教室触媒化学講座触媒設計工学分野(乾智行教授)]
|