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地球物理学教室附属工作室

 地球物理学教室附属工作室(理学部)では主に地殻変動観測用機器の補修や部品製作が行われていた。この工作室はすでに数年前から使用されなくなっているが、建物の中に数台の古い工作機械が残されている。また、それらの工作機械の物品管理票も保存されている。
 建物の天井には回転シャフトが取り付けられており、そこから各工作機械がベルトを介して動力を取り出す方式になっている。シャフトの回転は工場の隅にある動力源からベルトを介して与えられる。このように動力源が一つで、各工作機械が回転シャフトから動力を取り出す方式は1960年代までの生産工場の標準的な動力伝達方式であった。しかし現在ではほとんど見られなくなってしまった珍しい方式である。
 これらの工作機械は、(1) ベルトによって各工作機械が天井の回転シャフトから動力を取り出す方式の時代のものであること、 (2) (ベルトをかける)段車がそのまま残されているように改造のあとが見られない、(3) 希少と考えられること、(4) 購入年月日やメーカー名等が記された物品管理票が保存されていること、等から産業・技術史的に価値のある資料であると考えられる。

写真:工作室内部風景(ただし、取り壊されて現在はない)

残されている工作機械