レクチャー・シリーズ

 前回のニュースレターでの紹介以 来、今年の1月から7月にかけて9回のレクチャーを新たに行うことが出来ました。月に1回という目標を少し上回っていますが、スピーカーの先生方のご協力 のたまものであり、また参加者の皆さんの熱意も大きな支えとなっています。関係されたすべての皆さんにお礼申し上げます。具体的には、以下のような内容・ スピーカーで開催しました。
 特筆すべき点は、若手の研究者が何人もスピーカーを引き受けてくださったことです。伊勢戸先生(no.33)は、当博物館の研修員でありまた、日本学術振興会の特別研究員出もあります。また、厳先生(no.36)は、中国からの留学生として今年の春まで京大大学院教育学研究科の大学院生でした。さらに、甲斐先生 (no.38)は、 昨年春まで京大大学院農学研究科の大学院生で、中坊徹次現館長の下で博物館において研鑽されていました。また、カンジャナ先生のレクチャーを流暢でわかり やすい日本語に通訳してくれたのは大学院情報学研究科の大学院生の市川君です。優秀な若手研究者がわかりやすく研究成果を披露してくれたことは、参加した 小学生や中学生たちにとって大きな刺激となったと思います。
 今回は、参加者のおしかりを受 ける場面もありました。毎回ジュニア、シニアと主な対象を示して案内をしていますが、ジュニア向けとして案内したレクチャーにやや専門的な内容のものがあ り、講演の後の質疑応答の中で、「対象者にさらに配慮した準備を望む」との発言をいただきました。レクチャーの企画担当者としてスピーカーの先生方にき ちっと趣旨をお伝えし切れていなかったことで、スピーカーにも参加者にもご迷惑をおかけする結果となりました。今後は、このようなことが起きないようさら に努力してゆきたいと反省しております。
 さてこの9回 に限ってみても、地学、古生物学、動物学、考古学、日本史、教育学と幅広い分野からの話題提供をいただくことが出来ました。今後とも広い研究分野からの優 れた研究者のレクチャーを提供してゆきたく思います。自薦・他薦を問わずスピーカーのご推薦をたまわることが出来れば幸いです。

(京都大学総合博物館・情報発信系・教授 大野照文)

no.31 「火山の不思議」 スピーカー:古川善紹先生(京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設助教授)・平成 17年1月22日(土)・(ジュニアレクチャー)

no.32 「四~六世紀における半島の倭人たちと「日本府」問題」 スピーカー:李 在碩先生(京都大学総合博物館客員教授・高麗大学日本学研究所研究教授)・(シニアレクチャー)・平成 17年2月5日(土)

no.33 「サンゴ礁の生きものに憧れて」 スピーカー:伊勢戸徹先生(京都大学総合博物館研修員・日本学術振興会特別研究員)・(ジュニアレクチャー)・平成 17年3月26日(土)

no.34「海 の動物たちを絶滅から救う!タイと日本の共同研究プロジェクト」 スピーカー:アドゥルヤヌコソル・カンジャナ先生(総合博物館客員教授・タイ国国立プー ケット海洋センター上級海洋生物学者)・通訳:市川光太郎(京都大学大学院情報学研究科大学院生)・(ジュニアレクチャー)平成17年4月9日(土)

no.35「最近、森の外でクマさんと出会うわけ」 スピーカー:大井徹先生(独立行政法人森林総合研究所関西支所・生物多様性研究グループ長)・(ジュニアレクチャー)・平成 17年5月14日(土)

大井先生のレクチャー風景

no.36「「自由」な京大生になるための教養教育と折田彦市」 スピーカー:厳 平先生(同志社大学嘱託講師)・ (シニアレクチャー)・平成17年5月21日(土)

厳先生のレクチャー風景

no.37「考古資料の診断と治療―保存処理技術者の目― スピーカー:伊藤幸司先生( 大阪市文化財協会)・(ジュニアレクチャー)・平成17年5月29日(日)

no.38「日本海の魚たち」 スピーカー:甲斐嘉晃先生(京都大学フィールド科学教育研究センター助手)・(ジュニアレクチャー)・ 17年6月25日(土)

no.39「小さな小さなプランクトンのお話」 スピーカー:西田史朗先生(奈良教育大学名誉教授・地域自然誌研究会主宰)・(ジュニアレクチャー)・平成 17年7月30日(土)・(午前中のレクチャーに続いて、午後には電子顕微鏡によるナンノプランクトンの観察会も開催してくださった)。