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新任スタッフ紹介

山村亜希

資料基礎調査系・助手


 今年4月に資料基礎調査系の助手として着任した山村亜希です。専門の研究分野は地理学で,今年3月に京都大学文学研究科にて課程博士を取得しました。これまでは,日本中世都市の空間構造について研究を行ってきました。近年,日本中世都市研究は文献史学・考古学・建築史学といった複数の分野で共同研究が進み,徐々にその実像が明らかになってきています。私は歴史地理学の立場から,中世都市「空間」を,諸施設・諸機能の形態や分布などから推定される「現実の空間」と,古地図や文書に表現された「認識された空間」とに分けて分析を進めてきました。その結果,両者は中世都市においては必ずしも一致するものでないことも分かってきました。その相違を当時の政治的・社会的・経済的な文脈に即して理解することが現在の研究課題です。

 最近は,古地図についても大きな関心を抱いています。今年6月には当博物館にて京都大学附属図書館の主催により開催された『近世の京都図・世界図』展の企画に参加する機会を得て,刊行地図に描かれた京都像についてより興味を持つようになりました。当博物館にも,多くの貴重な古地図が所蔵されております。それらの分析を進め,作成者の空間認識や社会に受容された空間イメージや地理情報を検討し,古地図研究の可能性を広げたいと思っています。

 また,当博物館に所蔵されている多くの貴重な資料に直接接する立場にあることを生かして,それらの管理・整理を行うとともに,資料の学術的活用の方法や視角もより一層検討していきたいと思います。

 宜しくお願いします。