平成13年度秋期企画展 今西錦司生誕100年記念

今西錦司の世界

-京都大学のパイオニア・ワーク-



ごあいさつ
 京都大学総合博物館の常設展示のメーンテーマは「野外研究」である。 京都大学の性格をもっとも的確に表現するものとして、京都大学でおこなわれてきた種々多様なフィールドワークの成果を展示してある。登山・探検を軸にした野外における研究が、これほど魅力あるものとは誰も想像できなかったであろう。1997年の京都大学創設100周年を記念する特別展示会では、「登山・探検」のコーナーを設けた。これが好評であった。常設展示のテーマを「野外研究」にするという案は、この時に浮び上がった。京都大学に野外研究の伝統を根づかせたのは、今西錦司であった。2002年は今西の生誕100年にあたる。それを記念して今西の人間像を描く展示を企画した。今回の企画展示は、京都大学を特徴づける「フィールドサイエンス」の源流をたどる意味もあわせ持っている。
京都大学総合博物館長  瀬戸口烈司

ごあいさつ
 生物の「棲み分け」論を提唱するなど独創的な学者であり、登山や探検のパイオニアであった今西錦司(1902~1992)は、2002年1月6日に生誕100年を迎える。
 今西が学び教えた京都大学を中心にして記念事業が行われ、この「今西錦司の世界」展は、その中核となる催しである。
 昆虫学から生態学、動物社会学、霊長類・人類学へと研究対象を展開し、『生物の世界』はじめ多くの著作を出し、文化勲章も受けた今西の生涯をたどる展示となっている。初公開品もあり、巨人の全貌を知る、またとない機会といえる。
 多くの遺品を提供していただいた今西家をはじめとする関係者、そして京都大学総合博物館、今西錦司生誕100年記念事業世話人会の方々に、企画担当者としてお礼を申し上げます。

プロデューサー 斎藤清明(京都大学学士山岳会会員)

謝辞
 企画展「今西錦司の世界」では、京都大学のパイオニア・ワーク、そのまさにパイオニアであった今西錦司の全貌を紹介することに努めた。フィールド・ワークを根幹とする京都大学の研究が今西錦司によってスタートすることが、ご理解いただけたことと思う。
 今西錦司が直接関わりをもった”もの”を展示することによって、その業績が生き生きとよみがえっている。それらの貴重な資料を提供していただいた今西武奈太郎氏をはじめ、故伊谷純一郎氏、梅棹忠夫氏、川喜田二郎氏、吉良龍夫氏に感謝する。また次の方々の尽力がこの展示に輝きをあたえたことを伝え、謝意を表したい。

岐阜大学、国土地理院、株式会社写真弘社、株式会社キャノテック、株式会社フレームマン、日本山岳会、京都大学学士山岳会、川畑博昭氏、川村赳夫氏、原弘文氏、水越武氏、株式会社エス・プジェクト

京都大学総合博物館長  瀬戸口烈司

展示項目
 展示は、今西の行動テーマ別に配置してある。テーマ別のコーナーを列挙すると、以下のようになる。

1.京都の山々、初登頂『山岳省察』10.動物社会学(都井岬)
2.万年雪の研究、植物の垂直分布11.ヒマラヤ
3.すみ分け『生物の世界』12.カラコルム
4.カゲロウの研究13.アフリカ
5.白頭山遠征14.日本の山(1552弾)
6.ポナペ島遠征15.イワナ(日本山岳研究)
7.大興安嶺探検16.自然学
8.西北研究所17.年譜:今西錦司とその時代
9.動物社会学(内蒙古)  




秋期企画展にあわせて下記の公開講座が平成14年1月12日、19日に芝蘭会館で開催されました。

京都大学総合博物館 平成13年度 後期公開講座