京都大学ミュージアムコンサート開催報告

ジュニアオリジナルコンサート開催


 平成14年11月1日の夕刻、京都大学総合博物館は、香り高い音楽の館に変身した。コンサートが開催されたのである。

 当館は、博物館と呼ばれるにふさわしい空間を備えた日本初の本格的大学博物館であり、昨年6月1日の開館以来、この恵まれた空間を市民に親んでもらえるものとするため、常設・企画の展示はもちろん、学習教室、科学教室、講演会など様々な試行錯誤を行ってきた。その一環として開催したのが、このコンサートである。開館以来、コンサートを構想してきたが、今回それが実現したのは、館の理念と相通ずる活動を行っているヤマハ音楽財団・株式会社十字屋をパートナーとして見いだせたからである。長尾真総長らの参加も得て、18時から総合博物館1階ロビーで、約150名を招いて開催した。

 当日は、ヤマハ音楽財団が主催する音楽教室で才能を開花させている京都周辺在住の小学生~高校生やそのOBで、京都大学の大学院に学ぶ学生などが創作したピアノ曲、ヴァイオリン曲、合唱曲などが披露された。館の展示場入り口にシンボルとして据え付けられた直径80CMの巨大なアンモナイト化石に想を得、8500万年前の海をゆったり泳ぐアンモナイトの姿を描いた即興曲、四季を生きてやがて雪のころ樹木から別れて命を終え、次の命を支えるために土に帰っていった「葉っぱのフレディー」の物語をうつくしく歌い上げ、命の尊さを訴えた歌曲など、自然・文化・生命をテーマとした総合博物館の展示の精神と共鳴するプログラムは、聴衆に深い感銘を与えた。

 今回の企画の実現にあたっては、パートナーであるヤマハ音楽財団、株式会社十字屋の全面的な協力を得られた。また、京都大学事務局長の本間雅雄氏は、館とパートナーの共同作業がスムースに運ぶよう、様々な労をとってくださった。

 開館以来、総合博物館では、館長以下「大学博物館は文化施設である」と信じて「社会に開かれた大学の窓口」としての役割を果たそうと日夜模索してきた。今回、実績あるヤマハ音楽財団との共催企画が実現したことは、館の教官・職員の地道な模索の真摯さを外部からも認めていただけた現れとして理解したい。そして、これを励みに総合博物館をさらに親しめる博物館として発展させるため、今後も学内外の協力を得ながら努力してゆきたい。