総合博物館 レクチャーシリーズ(Honzou-e)NO.3

「未知なる生物の宝庫-メイオベントス」開催報告

スピーカー:スピーカー:白山義久氏(京都大学大学院理学研究科教授・附属瀬戸臨海実験所所長)
日時:平成14年11月30日土曜日 13:00 - 14:30
場所:京都大学総合博物館内 ミューズラボ
参加者:約35名


 今回は、白山義久先生に、メイオベントスについてお話いただいた。聞き慣れない言葉であるが、これは、海底にすむ動物を大きさで分けたとき、1mm~0.032mmの大きさのものを指す言葉である。白山先生は、この小さな動物たちについて、わかりやすく紹介してくださった。

 まず、その数に驚かされる。小型だから目立たないが、その生息密度は1平方メートル当り100万匹をゆうに超えるそうである。また、22動物門を超えるさまざまな動物群が含まれている。特に線形動物門(線虫類)は、総種数が1億種を超えるとする見積もりさえあるくらいに多様である。しかし残念ながら日本では、この動物たちの研究はあまり進んでいない。顕微鏡を駆使しなければできない根気のいる研究である。

 しかし、最近もいくつかの新しい門が発見されている「未知なる生物の宝庫」である。それは、20世紀以降発見されたあたらしい6つの動物門のうち5つがメイオベントスであることからもわかる。今後も、まだまだ生物学者が想像したこともないような不可思議な生物がたくさん見つかる。そして昆虫をしのぐような種の多様性を持つ可能性すらある。そんな魅力的な「サブミリ」の動物の世界を、多くの図や写真を使って説明してくださった。なお、興味を持たれた方は、白山先生のホームページ(-->「研究テーマ」)

http://www.seto.kyoto-u.ac.jp/yshira/index.html

を見ていただくと、メイオベントスについての簡潔な説明があります。