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新館建物企画設計プラン完成


【京都大学総合博物館新館建物の企画設計プランかたまる】

  平成9年4月1日に、教官スタッフ9名(教授3名、助教授3名、助手3名)、事務官4名をもって組織のたち上げ、実質的な研究、教育活動、マルチメディアを活用したさまざまな学術情報の提供など、自然史・技術史に関する学術情報を国内外に発信する活動を活発に行ってきたが、京都大学施設部との連携のもとに、平成10年度概算要求案の基礎となる自然史分野を中心とする博物館建物の企画設計プランの検討を進め、このほどその大綱が決定された(表紙の新建物イメージ図および3-4ページの設計図参照)。

 新建物の建設予定地は、東大路通りに面した現在の総合博物館(文化史部門)(旧文学部博物館)の南側で、地上1階、地下3階、総面積6545平方メートルで、現有の他の建物ともよく調和のとれた設計プランとなっており、建設が完了した暁には新たな京大の名所が出現することになる。

 建物の設計は国立大学の博物館としては、東京大学総合研究博物館に次いで2番目の施設となるが、はじめて機能を重視した本格的な構造となっており、200万点を越える学術標本資料の収蔵、各種の展示(収蔵展示、常設展示、企画展示、新発見の話題を取り上げるトピックス展示)、活発な研究・情報発信活動の中枢(資料基礎調査系、資料開発系、情報発信系)となる3つの大きなコンパートメントからなり、きわめてバランスのとれた設計プランとなっている。この企画設計案にのっとり、将来予算化が進んだ暁にはさらに具体的な実施設計プランに着手することになる。

【京都大学総合博物館設立の意義】

 京都大学総合博物館は、既存の旧文学部博物館を併合して、自然史分野、技術史分野を含む新たな施設として4月1日より組織が先行してスタートしたが、この構想は10年以上にわたる歳月をかけ、京都大学における多数の学部・研究施設、とりわけ理学部、農学部、総合人間学部(計画発足当時、教養部)、薬学部、並びに霊長類研究所、東南アジア研究所、文学部などが中心となって、自然史科学、人文科学分野を統合した新たな京都大学の施設として計画されてきたものである。計画推進に当たっては、昭和62年当時より西島安則前総長をはじめ、寺本英(故人)、日高敏隆(現滋賀県立大学学長)、鎮西清隆(現大阪学院大学教授)氏ら、歴代の理学部長がその強力な推進役となって、今日の構想案までようやくこぎ着けたものである。とくに自然史科学の分野にとっては、京大はもとより全国でも待望久しい拠点施設であり、その意味でも本年、1997年その創立100周年を迎えた京都大学にとっては、正に記念すべき全学共同利用施設の立ちあげであるといえよう。