インクルーシブデザインユニット by 京都大学情報学研究科

毎月19日はインクルーシブデザインの日

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第50回インクルーシブデザインワークショップ

「インクルーシブ・デザイン・チャレンジ KYOTO 2009」

日時
2009年7月30日(木曜日)〜8月1日(土曜日)
会場
京都造形芸術大学
参加人数
61名

1)ワークショップはじめに

今回は、京都大学インクルーシブデザインユニットにとって、第50回目のワークショップです。そんな記念すべきワークショップは、英国王立芸術院(Royal College of Art:RCA)、京都造形芸術大学、九州大学と合同で開催されました(*1)。

*1 本ワークショップは、駐日英国大使館とブリティッシュ・カウンシルが2008年に一年間展開した日英通商修好条約150周年記念事業UK-Japan2008日英共同プロジェクト助成金クリエイティブ産業分野のサポートを受けて開催されました。

RCAの異なるデザイン学科から4人のデザイナーがワークショップに参加しました。各チームは、デザイナーが1人、障害のある人が1-2人と、京都大学、京都造形芸術大学、九州大学からそれぞれデザインやエンジニアリングを学ぶ学生たちで構成されました。

2)初日 7月30日(木)

ワークショップディレクターをつとめるRCAのJulia Cassim氏からワークショップの説明があり、そこで課題が発表されました。今回の課題は・・・

イノベーティブ(革新的)でインクルーシブ(包括的)な、製品やサービスやコミュニケーションやシステムをデザインすること。それは、チームのデザインパートナー(*2)の熱い思いやニーズを取り込んでいることはもちろん、(一般ユーザー対象の)主流のマーケットにおいて、より多くの人びとに受入れられ、実際に採用される可能性を持ったものであること。

チームは、余暇、働くこと、身につけられるもの、コミュニケーションのいずれか一つまたは複数の組み合わせからテーマを選ぶこと。

*2 このワークショップでは、チームに迎える障害のある人のことを「デザインパートナー」と呼んでいます。

3日間一緒に過ごすチームのメンバーが発表された後は、メンバー同士が仲良くなる為の時間です。チームのメンバーみんなが参加するアクティビティーをしました。そのアクティビティーとは、Machine Game。グループ全員で1つの機械を表現して下さい。必ず、1人1つの音、もしくは1つの動作を担当すること。というお題が与えられました。

「機械??」最初は、みんなの顔に戸惑いの色が・・・でも、どんな機械を表現するか、どんな役割を担当するかを決める間に、笑顔が見られるようになります。

各グループが選んだ機械はこちらです。

Anneチーム
洋服製造マシン
Danielチーム
未来のバイオ傘製造機
Debbieチーム
ボーリングシステム
Mielsチーム
洗濯機

アイスブレイクの楽しそうな様子

ランチの後は、3日目の公開プレゼンテーションの時まで、それぞれのチームごとに行動することになります。まずは、チーム内の自己紹介、その後、各々グループごとに、大学の外へ出かけてもらいました。

Anneチーム
ショッピングがしたい、というデザインパートナー(全盲、女性)のご希望にお応えして、カナート洛北へショッピングに行きました。
Danielチーム
車イスユーザのご夫妻とともに、大学の近所をお散歩しました。
Debbieチーム
靴を買いに行きたいというデザインパートナー(全盲、女性)と一緒に、バスで北大路ビブレへ向かいました。
Mielsチーム
デザインパートナー(全盲&車イス&手の麻痺、男性)と一緒にカナート洛北へ

さて、どのようなShort Tripになったのでしょうか。

フィールドワークの様子

「目の見えない人は、普段どんな風に買い物をしている?」「車イスの人はコンビニエンスストアをどう使う?」デザインパートナーと一緒に歩き、一緒にお買い物をし、一緒に公共交通機関を利用することで、いろいろな気づきが得られます。私たちも普段は無意識にがんばってしまっていることがたくさんあるようです。

大学内のワークショップ会場に戻って、気づいたことを付箋や紙に書き出します。書き出した気づきを集めて、メンバーで共有した後は、具体的なアイディアに結びつくことを探します。夜22時ぐらいまで熱心に相談をしていたチームもありました。

アイディア出しの様子

3)2日目 7月31日(金)

2日目は、一日中ずっとチームの作業を進める日でした。チームによっては、この日もデザインパートナーにお願いをしてワークショップの会場まで来てもらい、進行中のアイディアに対して意見をもらったりしました。今回のワークショップでは、チームのメンバーで考え出したアイディアの中から、ビジネスになりそうなもの、より多くの人が利用できそうなものをRCAのデザイナーと共に選びました。そして、既存の技術を組み合わせてアイディアを実現させることができるかどうか、インターネットを利用して探りました。また、別のチームメンバーは、そのアイディアを利用する場面をイメージし、より具体的にして行きます。また、チームの中では、チーム間の進行状況を確認したり、デザインパートナーの意見をチームメンバーに届けたりするコーディネーターの係も頑張っていました。さらに、RCAのスタッフとチームメンバーとの意思疎通をスムーズにするために通訳を頑張ってくれたメンバーもいました。

時には、激しい議論を交えつつ、2日目も結局、夜遅くまで作業を進めていたのでした。

作業の様子

4)3日目8月1日(土)

この日の14時30分が、プレゼンテーション案の提出締め切りです。締め切りに向けて、イメージ図を作成したり、話の流れを考えたり、話す順番を考えたり・・・あっという間に時間は過ぎて行きます。

5)公開プレゼン!!

いよいよ、全参加者の前で、そして、お客様の前でのプレゼンテーションです。3日間の成果を発表します。写真やイメージ図でアイディアを説明したり、劇を織りまぜたりと、とても楽しい時間でした。

各チームが出したアイディアを簡単にご紹介しておきます。

Anneチーム:PERSONAL SHOPPING ASSISTANT

買い物に不安を抱えている人はたくさんいるのではないでしょうか。「この洋服、似合ってる?」「最近の流行ってどんな服?」そこで、提案したのは、ファッションについての相談や情報収集ができるSNSです。自分のファッションを投稿して、みんなの反応を知ることができたり、自分のアバター(分身)に試着させたりできます。

Anneチームの発表

Danielチーム:HAREH.ORG

誰もが困っている人に手を差し伸べる、そんな世の中になるように行われるキャンペーンの名前が“(ハレ)プロジェクト”です。車イスの人でも心地よく利用できるように設計されているお店には、“ハレステッカー”。みんなにやさしい商品にも“ハレステッカー”。徐々に住みやすい街にしていきましょう。

Danielチームの発表

Debbieチーム:Pic

気軽にウィンドウショッピングがしたい。手間をかけずに試着したい。そんな希望をかなえる仕組みが“pic:”です。携帯電話で、洋服についているQRコードをスキャン。携帯内に作った、自分のマネキンの上で着せ替えができます。そして、欲しい洋服のイメージで、在庫の検索もできるのです。

Debbieチームの発表

Mielsチーム:You’ve got visitors

ピンポーンとドアのインターホンが鳴ったとき、誰・・・?と不安を感じたことはありませんか?そんな不安を解消できてしまう楽しいシステムの提案です。訪ねてきた人を認識して、その人固有の音楽を流します。ドアの内側には、訪ねてきた人の映像を映し出します。

Mielsチームの発表

結局、Best Presentation賞とGood Idea賞の両方を、Mielsチームが勝ち取り、3日間のワークショップが終わりました。

みなさん、3日間、お疲れさまでした。

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