機械科に残っている60点あまりの金属製の機械メカニズム模型の中には、ドイツから1900年頃に輸入された模型も含まれている。当時の価格で一台が数円から十数円という極めて高価なものであったと推測され、政府の機械工業の近代化にかけた期待の大きさがうかがえる。
部品がなくなったものや、動かなくなったものもあるが、現在でも可動な機械メカニズム模型も多く残されている。たとえば、等速の回転運動を不規則な回転運動に変える機械模型や、互いに方向の異なる回転軸が機械機構的に巧妙に連結されている機械模型など、単に機械メカニズムの理解に有効であるだけでなく、知的な好奇心をかきたてる要素も併せ持った有用な教育用模型である。複雑な機械的運動でも途中の過程を見ることのないまま電子技術で容易に実現できる今日こそ、これらの模型を見、自分で動かしてみて原点から機械の構造を理解することは意義のあることと思われる。
これらの中から10点程度が総合博物館で展示され、適宜、数点が入れ替えられる予定である。また、観覧者が実際に自分でハンドルを回して動きを確かめられるように7点の模型複製品を置いている。
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