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[技術史探訪]

チッテンデン水門

- シアトルのパナマ運河 -



 アメリカのワシントン州シアトル市北部にあるチッテンデン水門(正式名称:Hiram M. Chittenden Locks)は、水位の違うワシントン湖(淡水湖)と海とを結ぶ水路に1916年に完成された水門である。

 船が海から湖へ入る時、まず最初に2つある水門の内、より低い水位の海側の水門が開く。2つの水門の間に船が入って水門が閉じられた後、底の方から、より水位の高いワシントン湖の水が流れ込み、水位が上昇するとともに船も上昇する。2つの水門の間の水位が湖の水位と同じになったら湖側の水門が開き船が湖に入っていく。

 また、サケも通れるようにサケの階段(the fish ladder)が設けられていて、その側面からガラス越しにサケの遡上が観察できるようになっている。

 海から湖へ向かって水路の右端にサケの階段、左端に船が通る水門が設けられている。

 (*)印の写真は熊本博光教授(情報学研究科)提供。

Hiram M. Chittenden: 水門にその名前が冠せられたHiram M. Chittendenは1858年生まれ。ウェストポイント陸軍士官学校を卒業後、アメリカ陸軍技術師団所属の技師としてイエローストーン国立公園の道路を設計したり、また、カリフォルニアで洪水対策事業に従事したりした後、シアトルへ赴任した。1890年代の後半、シアトルへは丸太や石炭が鉄道で運び込まれてきたが、鉄道線路網が十分に整備されていなかったため、10回以上も積荷を移し替えなければならないことがしばしばあった。そこでチッテンデンは船舶運河の建設を立案した。その後、ワシントン湖船舶運河と水門建設事業がアメリカ陸軍技術師団によって1911年10月10日に起工され、1916年に完成した。
(参照:http://www.djc.com/special/century/chit.htmlhttp://community.webshots.com/photo/493364/407580http://www.nws.usace.army.mil/opdiv/lwsc/how.html

2001年3月訪問


(ついでの写真その1)シアトルの街


(ついでの写真その2)ワシントン大学構内の建物