企画展・特別展

海を伝える-理学部に薫る19世紀博物学の図書コレクションから-

開催期間:

飽くなき好奇心から人は海を越え,

その知は本になった

時は19世紀.西洋諸国は産業革命による技術革新を糧に,その版図をアフリカ,アメリカそして極東へと拡大させた.欧州各国にとって,これら“異国の地”に固有の自然や文化は全く未知であり,興味をかきたててやまないものであった.多くの科学者が海を越えて世界各地へと研究に赴いたが,その成果を論文や書籍としてまとめる際には,動植物や風俗を正確に描き映した図版が不可欠であった.写真技術がきわめて低い当時にあって,これらの図版には専門の絵師の手による,精緻で色鮮やかなイラストが充てられたのである.

 

こうして手がけられた書籍は,19世紀末に創設された京都大学にも多数が揃えられた.百余年を経て,これら当時最先端の知識を載せていた専門書は,今や全世界にいくつもない貴重書となった.数多の学生や教員が手にしたこれらの書籍は経年劣化が著しかったが,このたび,理学部中央図書室所蔵の99冊の貴重書が修復された.今回は,先の企画展『海』にちなんで,この99冊から,海にまつわる7タイトルを展示する.人類が科学という大海へ漕ぎ出した当時に思いを馳せてほしい.

 

京都大学理学部中央図書室・京都大学総合博物館 共催展示

 

   

※画像をクリックしていただくと、チラシがダウンロードできます。

 

展示貴重書

  • 1818年刊『朝鮮・琉球航海記』 バジル・ホール著
  • 1850年刊『サラマン号航海記』 ジョン・エドワード・グレイほか著
  • 1868年刊『フィリピン群島の旅』 カール・ゼンパー著
  • 1870年刊『カッセル中新統の貝類化石』 オスカー・シャパイエル著
  • 1821年刊『動物学図譜:貝類学編』 ウィリアム・スウェインソン著
  • 1853年刊『英国の軟体動物門の歴史とその殻』 エドワード・フォーブス/シルバヌス・ハンレイ著
  • 1842年刊『日本の島の動物に関する概要』 コンラート・テミンク著