鴨川の東、比叡山から東山の山麓にひろがる一帯には、1万年前を越える古い時代から、さまざまな時期の遺跡が地中に残されています。本展覧会では、その一帯、「鴨東」と呼ぶ地域で積み重ねられてきた発掘調査の成果を紹介し、歴史の流れをたどります。縄文時代の小さなすまいの痕跡から、壮大な古代寺院、そして中世貴族たちの屋敷跡や生活を物語る品々など、私たちの足もとにねむるさまざまな文化財をご覧いただきながら、身近な地域のあゆみに思いを馳せる機会となれば幸いです。
吉田キャンパスが位置する鴨東の古代~中世の歴史を物語る資料を展示します。文化財総合研究センターが発掘調査をおこなっている構内の遺跡からは、奈良時代の貨幣や土器、平安時代梵鐘鋳造遺構出土の鋳型や道具類、吉田泉殿など鎌倉~室町時代の邸宅や屋敷跡から出土した軒瓦や各種の土器・陶磁器類を紹介します。 これらに加えて、7世紀にさかのぼる巨大寺院の北白川廃寺やその下層の飛鳥時代集落、平安後期の院政期の栄華を象徴する白河街区と六勝寺、といった大学周辺の遺跡について、総合博物館収蔵品や京都市埋蔵文化財研究所の発掘調査による資料も陳列し、飛鳥時代から室町時代に至るまでを通した地域の動静を体感していただきます。
京都市考古資料館平成29年度後期特別展示 旧石器~古墳時代編
関連講演会
第1回 5月19日(土)
「足もとの歴史を探る─京大構内発掘40年のあゆみ─」
千葉 豊(京都大学文化財総合研究センター准教授)
「縄文時代の巨木の発掘と研究─北白川追分町遺跡の調査成果から─」
村上由美子(京都大学総合博物館准教授)
第2回 6月2日(土)
「遺跡発掘と自然科学─考古学とつきあって─」
竹村惠二(京都大学大学院理学研究科教授)
第3回 6月9日(土)
「梵鐘鋳造遺構の発掘調査から始まった梵鐘鋳造技術の研究」
五十川伸矢(鋳造遺跡研究会会長)
第4回 6月16日(土)
「中世公家の伝領と吉田地域─勧修寺家本『御遺言条々』を中心に─」
吉江 崇(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)
京都市考古資料館文化財講座 [京都アスニー京都学講座の一環]
※会場は京都アスニーとなっております。お間違えの無いようお気を付けください。
シリーズ「考古学からみた鴨東の歴史」(全6回)
1月27日(土)①「北白川の縄文世界」
千葉 豊(京都大学文化財総合研究センター准教授)
2月24日(土)②「稲作のはじまりからクニの成立へ」
伊藤淳史(京都大学文化財総合研究センター)
3月24日(土)③「平安京建設以前の鴨東」
堀大輔(京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化財保護課)
4月28日(土)④「古代の吉田神社」
笹川尚紀(京都大学文化財総合研究センター)
5月26日(土)⑤「六勝寺の実像」
柏田有香(公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所)
6月30日(土)⑥「発掘調査の成果からみた中世の鴨東」
内田好昭(公益財団法人京都市埋蔵文化財研究所)
会場:京都市生涯学習総合センター 京都アスニー
web.kyoto-inet.or.jp/org/asny1/top.html
京都市考古資料館 第3回史跡ウォーク
「京都大学構内の遺跡をめぐる」
日 付:3月10日(土)
時 間: 13:30~15:00[ 荒天時中止](受付開始/13:00)
集合場所:尊攘堂前広場(京都大学本部構内・総合博物館南側)
当日先着100名(事前申し込み不要)、参加費無料
*希望者には京都大学総合博物館入館券を進呈します。
問合せ先:京都市考古資料館
※講演会や講座の会場をお間違えの無いようお気を付けください。