平成30年度特別展・文化財発掘Ⅴ
発掘 乾山窯
京都大学構内から出土した埋蔵文化財を紹介するシリーズ「文化財発掘」の5回目は、病院構内出土の乾山焼に光をあてた展示を企画しました。乾山焼は尾形深省(乾山)によって生み出された江戸時代中期のやきもので、陶磁器の世界に新風を吹き込みました。京都西北部の鳴滝の地に窯を築き、のちに鴨川の東に位置する聖護院へ移動して、やきもの作りを継続します。病院構内の発掘調査で出土した乾山焼は、この聖護院窯に関わるものです。
今回の企画では、聖護院および鳴滝出土の乾山焼を一堂に会して展示します。両窯で製作された乾山焼には、どのような違いや共通性があるのでしょうか。乾山焼の源流となった押小路焼、乾山の庇護者ともいえる二條家の邸宅跡出土品もあわせて展示することで、乾山焼の実像を探ります。
窯跡遺跡からの出土品の多くは完成に至らなかった失敗品で、伝世品に見られるような華々しさは持っておりません。しかしながら、その地で作られたことを確実に示す失敗品は、乾山焼の実像を新たにさせる可能性を秘めています。この展観を通じて、乾山焼に対する理解が深まることを期待します。
●画像をクリックするとPDFでご覧いただけます●
主催:京都大学総合博物館・京都大学文化財総合研究センター
主な展示品
・鳴滝乾山窯跡出土品(法蔵禅寺蔵)
・京都大学病院構内出土の乾山焼(京都大学文化財総合研究センター蔵)
・二條家邸宅跡出土の乾山焼(同志社大学歴史資料館蔵)
・平安京左京三条四坊十町跡出土の押小路焼(京都市埋蔵文化財研究所蔵)
・復原錦炭窯(立命館大学文学部考古学・文化遺産専攻蔵)
展示関連講演会
【第1回】3月9日(土)14時00分~15時30分
千葉 豊(京都大学文化財総合研究センター准教授)
「考古資料と美術作品-「発掘 乾山窯」を企画して-」
西川秀敏(法蔵禅寺住職・禅文化研究所研究員)
「尾形乾山-生涯とその芸術-」
【第2回】3月16日(土)14時00分~15時30分
鄭 銀珍(大阪市立東洋陶磁美術館学芸員)
「乾山焼の形成技術と意匠」
【第3回】3月23日(土)14時00分~15時30分
木立雅朗(立命館大学文学部教授)
「乾山窯と京焼窯-民俗考古学からみた御室・鳴滝・五条坂-」
【第4回】4月6日(土)14時00分~15時30分
リチャード・ウィルソン(国際基督教大学教養学部特任教授)
「乾山研究50年」
※会場:総合博物館本館3階 講演室 講演はいずれも日本語
※参加費無料・申込不要(ただし、博物館への入館料は必要)