企画展・特別展

スポット展示「魚の名前 いろいろな和名」

開催期間:

 日本からは4740 種の魚が知られ、そのすべてに日本語の生物名である「和名」がつけられています。魚の和名には、形や色の特徴をほかの動物や植物にたとえてつけられたものがたくさんあります。
 8 月9 日~ 27 日の3 週間にわたって、魚と、その魚の和名の由来についての小さな展示を行います。1 週間ずつ展示を更新します。*月・火曜日と16日(水)は休館日です。

展示内容

 第1週 2023年8月9日(水)~13日(日)

 <哺乳類に由来する名前をもつ魚>

オオカミウオ,ネズミギス,ネズミギンポ,ネズミダラ,イタチウオ,ネコザメ

 第2週 2023年8月17日(木)~20日(日)

 <京都大学の魚研究者がつけた和名>

サクラダンゴウオ,トマトコンニャクウオ,エナガミミズクラクダアンコウ,クマカサゴ,イブリカマス

いくつかの種は植物が名前のもとになっています。押し葉標本を並べて展示していますので、見比べてみましょう!
ヤマザクラ(牧野富太郎 採集,1941年),チェリートマト

 第3週 2023年8月23日(水)~27日(日)

 <君が名前をつけよう!>

ヒラメ科の一種

来館者の皆さんから、まだ和名のない魚の新しい和名を募集します。

場所

2階 企画展示室(南側)

展示風景

第1週

  

実物を見る前に、名前だけから想像される魚の絵を、来場者の皆さんに描いていただきました。想像通り?思ってたのとちょっと違う?
第2週は、想像をさらに搔き立てる名前の魚たちが登場します。引き続き、想像力あふれる作品をおまちしています!

第2週

  

たくさんの想像図、ありがとうございました!いろんな名前のいろんな由来、楽しんでいただけたでしょうか?
第3週(最終週)は、これまでとは思考を逆転させて、名前のほうを考えていただきます。ご来場お待ちしています!

第3週

  

たくさんの方が、いろいろな名前を考えてくれました! 正式な和名は、学術誌で論文が採択されることで決まります。皆さんの応募の中から正式な和名として採用された場合には、本ページでお知らせいたします。

来館者がつけた魚の名前が新和名に!!

2023年8月9日~27日に総合博物館で開催されたスポット展示「魚の名前 いろいろな和名」では、まだ和名のない魚(ヒラメ科の一種)に対する新しい和名を、来館者の皆さんから募集しました。このたび発表された論文で、「まりも」さんが提案した「ゴモクガンゾウビラメ」という名前が、ガンゾウビラメ属の魚(Pseudorhombus pentophthalmus)の新たな標準和名として正式に採用されました。

ゴモクガンゾウビラメ(沖縄産)の写真
ゴモクガンゾウビラメ

まりも」さんは、この名前の由来について、「五つの目玉(模様)が五目並べをしているように見えるから」と説明しており、この魚の特徴をよく表しています。また、「ゴモクビラメ」や「ゴモクヒラメ」といった名前を提案してくださった方もいらっしゃいました。たくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。

Pseudorhombus pentophthalmusは、インドネシアから日本の沖縄島までの暖かい海に生息しています。これまで日本では「タマガンゾウビラメ」と呼ばれていた種がPseudorhombus pentophthalmusであると考えられていましたが、今回の研究によって、「タマガンゾウビラメ」の学名はPseudorhombus ocelliferであることが判明しました。その結果、沖縄島にも生息する真のPseudorhombus pentophthalmusには和名がないことが分かり、「ゴモクガンゾウビラメ」という新しい標準和名が命名されることとなりました。

論文の情報

論文は日本魚類学会の国際誌「Ichthyological Research」に2025年3月29日付けでオンライン掲載されました。京都大学,鹿児島大学,北海道大学,マレーシア・トレンガヌ大学の研究者による共同研究です。

Mizuki Matsunuma, Seiya Kanai, Ying Giat Seah, Fumihito Tashiro, Hiroyuki Motomura (2025). Resurrection of the five-ocellated left-eye flounder Pseudorhombus ocellifer Regan 1905 (Paralichthyidae), with redescriptions of Pseudorhombus pentophthalmus Gunther 1862 and Pseudorhombus oculocirris Amaoka 1969. Ichthyological Research, https://doi.org/10.1007/s10228-025-01019-w 又はhttps://link.springer.com/article/10.1007/s10228-025-01019-w

(和文タイトル:ヒラメ科ガンゾウビラメ属のPseudorhombus ocellifer Regan, 1905の復活およびPseudorhombus pentophthalmus Günther, 1862とPseudorhombus oculocirris Amaoka, 1969の再記載)